大判例

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長野地方裁判所飯田支部 事件番号不詳〔1〕 判決

主文

被告人を懲役六月に処する。

但し本裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予する。

押収にかかる現金一万円(昭和二十七年証第五十六号の一、)はこれを没収する。

被告人より金一万七千二十五円を追徴する。

理由

被告人は昭和二十七年十月一日施行の衆議院議員総選挙の選挙人にして、同選挙に長野県第三区より立候補した議員候補者中島巖の選挙運動をした者であるが、

第一、(一) 同年九月一日頃、飯田市追手町一丁目十九番地料理店舞鶴こと田中みか方に於て、同候補者の選挙運動者堀本孝智より同候補者に当選を得しめる目的を以つて同候補者のため投票取纒めの選挙運動の報酬並資金として供与されるものであることの情を知りながら現金一万円の供与を受け

(二) 右同日頃、前記田中みか方に於て、右堀本孝智より、同候補者に当選を得しめる目的を以つて同候補者のため投票並投票取纒めの選挙運動の報酬並資金として同選挙の選挙人で同候補者の同県下伊那郡龍江村の選挙運動者である高橋健治郎に供与すべき現金一万円の交付を受け

第二、同年九月十日過頃、飯田市本町二丁目十六番地鎮西喜久雄方に於て、同候補者の選挙運動者関島彦四郎より同候補者に当選を得しめる目的を以つて同候補者のため投票並投票取纒め選挙運動の報酬並選挙運動資金として供与されるものであることの情を知りながら現金一万円の供与を受け

たものである。

(証拠省略)

法律に照すと、被告人の右所為中判示第一、の(一)及判示第二、の各所為は公職選挙法第二百二十一条第一項第四号に、判示第一、の(二)の所為は同条第一項第五号に各該当するところ、所定刑中何れも懲役刑を選択し以上は刑法第四十五条前段の併合罪であるから同法第四十七条第十条を適用し犯情の重い判示第二、の受供与罪の刑に併合加重をなしその刑期範囲内に於て被告人を懲役六月に処する。尚被告人に対しては情状右刑の執行を猶予するを相当と認め刑法第二十五条により本裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予する。押収にかかる現金一万円(昭和二十七年証第五十六号の一)は本件第一、の(一)の犯行により被告人が収受した利益であるから公職選挙法第二百二十四条によりこれを没収する。被告人が判示第一、の(二)、判示第二、の犯行により収受した利益合計金二万円中供与者に返還した二千九百七十四円を除く金一万七千二十五円はこれを没収することができないから公職選挙法第二百二十四条を適用し被告人よりその価額金一万七千二十五円を追徴する。

よつて主文の通り判決する。(昭和二八年五月二八日長野地方裁判所飯田支部)

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